抄録
近年,電子マネーを用いた取引は多く行われている。プリペイド型電子マネーは商品券が電子化されたものと理解されていることから,保有者において貯蔵品として処理される。しかし,IT 技術や決済サービスの発展により,単なる財・サービスの提供義務として電子マネーを理解することには疑念が残る。このような背景から,保有する電子マネーを貯蔵品勘定として処理する論拠,諸外国における電子マネーの議論,商品券勘定の理解を踏まえ,保有する電子マネーに対する会計処理を検討する。結論として,保有する電子マネーは現金との類似性があるため,費用性資産として処理する方法を棄却し,販売取引時に生じた営業債権債務を決済する権利義務として理解し,金融商品として会計処理することを私案として提示する。