日本結晶成長学会誌
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ダイヤモンドのモルフォロジー(<小特集>バルク成長分科会特集-機能性材料ダイヤモンド-)
砂川 一郎
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2004 年 31 巻 4 号 p. 304-310

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抄録
結晶の形に関する問題をまとめてモルフォロジーと呼ぶとすればそれは結晶の構造と成長で決まる.多面体,骸晶,樹枝状晶などのマクロな形の変化,結晶面の表面マイクロトポグラフ,結晶内部の成長縞や成長分域など,同一種結晶のモルフォロジーがどうして変化するかを理解できれば結晶成長機構の本質に迫ることになる.天然ダイヤモンドは地下深部で成長し地球の運動により急速に地表まで運び上げられた歴史を持っている.生い立ちの記がモルフォロジーに反映記録されている.天然ダイヤモンドとは違う金属溶媒の溶液相中で高温高圧下でダイヤモンドを工業規模で合成する歴史はすでに半世紀を超え,今では30カラットをこえる宝石質の結晶も合成でき,合成ダイヤモンドが宝石市場に顔を出すようになった.一方,熱力学的に安定でない1気圧下で気相からCVD法によりダイヤモンドを合成する方法も開発されダイヤモンドの新しい用途が広がった,単一の炭素原子間の純粋な共有結合で構成されているダイヤモンド結晶が,このように大幅に異なった成長条件下で成長しているので,結晶成長が結晶のモルフォロジーをどのように決めているかを理解する上でダイヤモンドほど適した試料はない.本論では,この観点に立ってダイヤモンドのモルフォロジーを論ずることにしよう.
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© 2004 日本結晶成長学会
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