2009 年 36 巻 1 号 p. 2-9
互いに非相溶な高分子鎖からなるブロック共重合体は,その凝集状態において数十ナノメートルオーダーの周期を有するミクロ相分離構造を形成する.種々のブロック共重合体の中で,3種の高分子鎖が1点で結合したABC星型ブロック共重合体は,結合点が1次元的に配列しなければならないという特殊な拘束条件が生まれるため,線状ブロック共重合体とは異なった特徴的なモルフォロジーが構築される.本報告では,ABC星型ブロック共重合体が形成する多種多様なモルフォロジーについて概説するとともに,著者らが最近発見した,従来とは異なる相分離構造の形成原理によって生まれたZnS型ネットワーク構造について紹介する.