2023 年 30 巻 4 号 p. 262-264
労働災害により手部切断に至った1例に対して、筋電電動式手義手を製作する機会を得たため報告する。症例は40歳男性、右手部の切断損傷に対して中手骨残存での断端形成術が施行された。術後当初から、本人は筋電電動義手(以下、筋電義手)製作の希望があった。そのため、能動義手の訓練を経ずに、筋電義手の外科処置の申請を行った。当時における労働者災害補償保険法の筋電義手支給要綱は、片側上肢切断者の場合、「手関節以上」での切断と規定されていたが、本症例は手部部分切断であるにもかかわらず支給を受けることができた。本例は早期に操作性を獲得できた。その理由は手関節の残存が影響した可能性がある。