2016 年 24 巻 4 号 p. 247-254
オープンソース・ソフトウェア(OSS)は,ソースコードが公開され,ユーザーサイドで改変や改良が可能なソフトウェアである.導入コストが低いことから,IT企業に限らず広く活用が進んでいる.本研究では,OSSの活用や,コミュニティに対する開発貢献が企業経営に対してどのような影響を及ぼしているのか,2012年度,2013年度と日本のIT企業を対象としたアンケート調査を行った.本報告では,2013年度春季大会,2014年度春季大会に続く第3報として,2014年度に実施したアンケート調査の結果を報告する.過去の調査結果を比較すると,企業経営指標との相関の変化等,いくつかの興味深い結果が得られた.また,ロジスティック分析の結果から,現状,日本のIT企業では,OSSの活用や開発貢献は,必ずしも企業経営には影響を与えていないことが示唆された.