2000 年 8 巻 4 号 p. 49-65
経済のボーダレス化が進み、企業は地球規模の競争にさらされている。このし烈な競争に勝ち残るためには、情報システムの活用が重要である。しかしながら、その情報システムを導入した結果の効果を定量的に把握することは難しい。そしてこのことが、経営者の情報化投資に関する判断を難しくしている。
本論文では、情報システムの効果を労働投入の削減にしぼって、産業ごとに定量的に分析検討することを行なった。すなわち、情報システムに関する資本ストックを、その他の資本ストックと切り離して「情報装備ストック」としてとらえ、DEA(Data Envelopment Analysis)によって情報装備ストックのスラックを検出した。これを情報システムの非効率性を示す指標とみなして、情報装備ストックの労働投入に対する限界代替率との関係を分析した。その結果、スラックが生じているときには、限界代替率を上回る率で情報装備ストックが増加していたり、情報装備ストックの増加にもかかわらず労働投入が減少していないという現象を確認することができた。これは情報装備が充分有効に活用されていない可能性を示唆するものである。