一般的な生産準備業務は非定型業務であり,担当者の固有技術に依存するところが多い。それは,陽的な情報の形態が文字,数値,図面,グラフ,数式,画像など多岐にわたり,また,ノウハウという用語で総括される暗黙的な情報がとくに重要であり,業務の標準化が容易でないことによる。熟練技術者の確保が難しい状況において,生産準備業務のレベルアップを図るために,組織内で情報共有が自然な形で起こり,とくに重要な情報については意図的に伝承される仕組みづくりが必要である。本研究では,生産準備業務に関する知的資産管理方法について検討した。すなわち,業務を活動モデルとして表現する方法論を考え,具体的にシステムに実装した。そこでは,寸法,原価などの形式的な情報に加えて,それらの意思決定の背景にある情報をデータベースとして登録し,活動モデルやCADシステムと関連づける方法論について検討した。さらに,開発したシステムを実務に適用し,その有効性を確認した。