日本造船学会論文集
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桁板構造の最終強度に関する研究 (その2)
新田 顕
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1968 年 1968 巻 124 号 p. 201-210

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抄録

油送船あるいは鉱石運搬船などにみられる桁板構造の横強度塑性解析法の確立を目的として, その基礎的な問題についての理論解析と模型実験による比較検討を試みた。
今回は, 端部円弧状変断面を有する横桁と竪桁とからなる枠形構造につき, その横桁の中央に集中荷重が作用して, 塑性崩壊する場合の力学的挙動を調査した。本研究の結果から得られた主な結論は, 概要, 次のとおりである。
(1) 竪桁と横桁の接含端部に生ずる塑性関節の位置および方向を理論的に求める解析方法が導かれた。さらに, 枠形模型による実験を行なつて, 塑性域の拡大状況について調査した結果, 平行部の短い桁の場合は, ウエブに剪断核が生じ, つぎに面材の降伏を伴つて塑性関節が形成される剪断崩壊の様相を呈するのに反し, 一方平行部の比較的長い桁の場合には, 下面材から降伏を開始し, ついでウエブに塑性域が拡大する曲げ剪断崩壊を示すことが認められた。
(2) ウエブおよび面材の局部座屈あるいは横倒れ座屈崩壊が, 塑性崩壊に先行しないよう適宜補強された桁構造においては, その塑性崩壊荷重は, 剪断力および軸力の影響を考慮に入れ, さらに端部変断面部の影響をも考慮に入れた理論解析により, 実用上十分な精度で算出することができる。これについて, 数値計算結果例が示され, 枠形模型による実験結果により確認された。

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