抄録
純旋回のY力および横行旋回のY力の推定精度向上を目指して、モデルの補正を行った。この補正モデルを模型船5隻の旋回流体力の推定に適用した結果、十分な精度で斜航流体力から推定できることが分かり、冒頭で述べた推定精度向上の目標を達成した。特に前報と異なるところを以下に示す。
1.実験データに即した線形流力係数の相互関係を用いて、特にY'r~ (N'v+ (m'y-m'x)) の関係から粘性揚力モデルの補正を行った。
2.その補正は旋回に起因するもので、船体中央に馬蹄形粘性渦を置くことにより解決した。その結果、Y'rの推定値は実験値と良く一致するようになった。
3.また環状のクロスフロー伴流渦のうち、これまで無視していた旋回に起因する鉛直渦の効果を再考し、クロスフロー流体力モデルの補正を行った。
4.その補正は、船体鏡像である船体中央部に等分布するクロスフロー鉛直渦との干渉力を考えることにより解決した。その結果、その場旋回など旋回時のクロスフロー抗力の推定値は実験値とよく一致するようになった。