抄録
陸地から幾百浬も離れて大洋を航行する船舶や漁船にとって, 自船の位置を正確に把握していることほど大切なことはない。晴天のときならば天測で位置の決定を行なって, 一応はまにあうが, 天候はいつも天測に適したよい状態の時ばかりではない。悪天候の場合には, たちまちにして, 自船の位置がわからなくなり, このために大きな事故を起した例は限りを知らない。このような場合には, 自船の位置を, どんな方法で, どんな海図を使って決め, その難をまぬがれているか, 最近よくいわれているロラン海図を中心に, 双曲線航法図について解説を試みる。勿論ここではCartographyの立場を離れないで, それに主体をおいて, 予備知識的なことには, 多少言及する程度にしたいと思う。