抄録
明治維新後, わが国に洋式測量が開始されてから100年を経た。最近この近代測量の曙というべき明治初頭の測量に関する資料が発見されたので, ここにその全文を掲載し, 近代地図史研究の用にたてたいと思う。特にこの資料には, 本誌添付の地図「東京実測全図」の母体となった東京府下測量に関する記事, 例えば明治5年に開始された第1回測量による原図および騰写が, 明治11年編集同12年に出版された西川光通の「大日本改正東京全図」の母体であったこと, また明治8年の内務省火災により焼失した原図及謄写を明治9年より再測し, 縮尺2500分1で明治13年完成した再測原図が「東京実測全図」の母体となったことが, 両図の例言, 凡例と対比確認できる等, 今までの資料には認められなかった興味深いものが多た記載されている。添付地図解説の一資料として呈示する。