2025 年 4 巻 2 号 p. 79-87
【目的】地域在住高齢者において日常的な銭湯利用が個人レベルのソーシャル・キャピタル(以下,SC)と関連しているか調査し,介護予防に資する通いの場としての役割の可能性を検討すること.【方法】大阪市西成区の銭湯利用者に利用頻度,目的,健康やSCに関するアンケート調査,体組成の測定を実施した.利用頻度による健康関連指標の比較と日常的な銭湯利用がSC強度への関連因子となるか検討した.【結果】銭湯の利用頻度による群間比較では,利用頻度が高い群は低い群に比較して,地域への信頼度,近隣住民との交流,SC強度が有意に高かった.ロジスティック回帰分析の結果,銭湯利用頻度は地域への信頼(オッズ比4.9,95%信頼区間 1.57-15.83,p<0.01),近隣住民との交流(オッズ比3.4,95%信頼区間 1.37-8.42,p<0.01)と独立して関連していた.【結論】日常的な銭湯利用は地域のSC醸成にポジティブな影響を与え,介護予防に資する通いの場としての役割を有している可能性がある.