抄録
個人の普段の尿中食塩およびカリウム排泄量の特性を把握するために, 24時間尿中食塩およびカリウム排泄量の測定日数と測定時期を検討した。健康成人男子1名が365日間の24時間尿中食塩, カリウム排泄量およびNa/Kの追跡に従事した。排尿ごとに任意量の尿を濾紙片に吸着し, 室温で良く乾燥した。乾燥した濾紙片を調査終了まで5～10℃の冷蔵庫に保存した。1日分の濾紙片の端約4mmを縦に切り取り, 炎光用ブランク液15mlに25℃, 1時間浸した。抽出液のNa, K, クレアチニン (Cr) 濃度をそれぞれ炎光法とJaffe法で測定した。24時間尿中食塩およびカリウム排泄量はNaCl/CrとK/Crに対象者の24時間尿中Cr排泄量を乗じた量から求めた。食塩, カリウムおよびNa/Kの365日の変動および3, 10, 20, 30, 40日間の移動平均の変動について検討した。食塩, カリウムおよびNa/Kの1年間の平均値は3月～5月に連続20日間測定することによって推定できた。
