抄録
1990 (平成2) 年の都道府県別年齢調整死亡率 : 人口動態統計特殊報告 (厚生省大臣官房統計情報部) によると, 神奈川県の同年の急性心筋梗塞年齢調整死亡率 (人口10万対) は男42.8, 女20.8で, 県単位では47都道府県中, 男女とも全国第1位であった。12大都市別では, 川崎市が男60.2, 女23.3で男女とも第1位, 横浜市は男45.6, 女22.3で男女とも第2位で, 第3位の東京区部の男36.9, 女19.2より高く, この傾向は20年以上続いていた。
本研究では, 神奈川県の各保健所年報, 横須賀市保健所の所内資料などを利用し, 神奈川県における地域 (3保健所政令市, 12県保健所管轄区域) 別の虚血性心疾患, 急性心筋梗塞, 心不全の各年齢調整死亡率を算出し, 県内の地域差を検討した。また地域差の説明要因の一つである医療整備状況について地域特性の検討を行った。
虚血性心疾患と急性心筋梗塞年齢調整死亡率は, 川崎市, 三崎保健所管内 (三浦市), 横浜市, 横須賀市の順に神奈川県東部で高かった。二次医療圏別に検討した医療整備状況については, 救急医療機関数や循環器科標傍施設の地域差が明らかとなり, 急性心筋梗塞年齢調整死亡率と人口10万対循環器科標傍施設数との間には, 単回帰分析で負の関連が見られた。