抄録
本研究は、久山町における成人健診時に実施した食事調査から、同一個人の10年間の食物摂取状況の変化について縦断的検討を行い、日本人の中高齢期における食生活の変化を検討した。その結果、加齢に伴いエネルギー摂取量は減少したが、たんぱく質、脂質、カルシウムの摂取量は維持もしくは増加傾向にあった。食品群別摂取量では米、油脂類、緑黄色野菜、その他の野菜、肉類、卵類、食塩が減少し、藻類および女性の大豆製品や乳・乳製品の増加が認められた。中・壮年期から高齢期の前半にかけておこる変化は、加齢に伴う食品選択の変化に加え時代的な影響が示唆された。