Abstract
本研究では,中学生810 名を対象として① Rogers の「建設的人格変化のための必要十分条件」の中核3 条件の友人への関係認知の学年・性別による特徴を明らかにした上で,②中核3条件が抑うつに与える影響から心の成長の視点から見た抑うつを乗り越える方向性を検討した。その結果,①中核3条件および抑うつにおいて女子が男子より高く,「共感的理解」および「無条件の積極的関心」では男子において学年差が見られた。このことは学年が上がるにつれ,今までの友人関係認知のやり方ではうまくいかなくなり,集団の中での孤独感を感じ,結果的に抑うつが高くなっていることと関連していると考えられる。②中核3条件と抑うつの関連では自己一致が抑うつに弱い負の影響を与えており,このことは周囲の評価と自分の価値観がずれていると抑うつを高めることにつながると考えられる。これらより自己一致を高める関わりとして抑うつの高い中学3年生に対して構成的エンカウンター後のシェアリングの有効性を提案した。