抄録
重度失語症者45名に“重度失語症検査・試案”の描画課題を実施し,描画能力の特徴を検討した.課題は,人物と3種類の物品の計4項目について,記憶に基づいた描画と,それが困難であった場合の模写から成っている.結果は,描画能力と全般的な言語能力との間に有意な相関がみられ,各言語様式では読解,書字,聴理解に強い相関,発話に弱い相関が認められた.また失語タイプ別では,描画能力の高い順にウェルニッケ,非典型,ブローカ,混合型,全失語であり,上位3タイプの失語には相互に有意な差はなく,混合型はウェルニッケと,全失語はすべてのタイプと有意な差があった.さらに記憶からの描画と模写の反応から,被験者を次の3群に分類した.A群;全項目で記号性のある描画が可能.B群;反応の一部に形態の崩壊や無反応,保続があるが模写は成功することが多い.C群;全項目で描画が困難であり模写も失敗することが多い.