脳死・脳蘇生
Online ISSN : 2435-1733
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静岡県内のCOVID-19流行下における脳死下臓器提供の現状
石川 牧子
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2023 年 35 巻 2 号 p. 72-77

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抄録

抄 録:2019年わが国の臓器提供は,過去最高の提供数であった。2010年の改正法施行により,本人の意思が不明な場合,家族の承諾で脳死下提供が可能となり,提供数は徐々に増加し始めた。また,2019年には,中学校の道徳の教科書に臓器移植が取り上げられるなど国民の理解が進むことで,臓器提供がさらに増加していくものと期待されたが,2020年はCOVID-19の猛威により医療は逼迫し,通常医療の維持すら困難となった。移植医療にも甚大な影響が及ぼされ,2019年に比べ,臓器提供数は全国的に大きく減少した。静岡県では,COVID-19の市中感染が拡大した2020年3月~2022年12月までに脳死下および心停止後を含め16例の臓器提供が行われた。COVID-19流行下でも,症例検討など施設間の情報共有を実施することで大きな問題が生じることなく提供が進められたが,脳死下臓器提供承諾に至る家族の決定から臓器摘出までの時間がCOVID-19流行前に比して延長したことがわかった。

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2023 日本脳死・脳蘇生学会
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