日本歯科麻酔学会雑誌
Online ISSN : 2433-4480
臨床
挿管困難モデルに対するMcGRATH® MACのX bladeを使用した喉頭展開に必要な訓練量の検討
森井 雅子小鹿 恭太郎島津 幸平鈴木 真理子辻 優人香川 瑠理大塩 昌弥一戸 達也
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2021 年 49 巻 4 号 p. 167-171

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抄録

【要約】 McGRATH® MACのX bladeTMは挿管困難症例に対する有用性が高い.今回われわれは,挿管経験が少ない者がどの程度トレーニングを積めば挿管困難症例に対してX bladeTMを用いて短時間で良好な視野が得られるようになるのかを検証した.気管挿管経験数20症例以上100症例未満の者(L群)7名および100症例以上200症例未満の者(H群)10名の計17名を対象とし,開口量20mm,頭部後屈不能に設定したシミュレータを用いて検証を行った.なお,本シミュレータは上顎前歯に強い力が加わると,歯が脱落する仕様になっていた.参加者が順番に1回ずつ交代しながらおのおのの合計が10回になるまでX bladeTMで喉頭展開を行った.あらかじめ左右の声帯ヒダの中央に印した線がビデオ喉頭鏡の画面上で確認できた時点で喉頭展開成功とした.喉頭展開開始後30秒以内に線を確認できなかった場合や,上顎前歯が脱落した場合は失敗とした.検討項目は,喉頭展開の成功率および成功した場合の展開時間とした.1回目は4名(L群2名,H群2名)が失敗したが,9回目以降は全員が成功した.喉頭展開時間は1回目と比較して7回目以降で短縮を認めた.本研究の結果から,挿管経験に乏しい者でも最低9回トレーニングすることで喉頭展開の成功率が100%となり,確実な喉頭展開が可能になることが示された.加えて,喉頭展開時間が短縮され,迅速な喉頭展開が可能となることも示された.

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© 2021 一般社団法人日本歯科麻酔学会
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