日本歯科麻酔学会雑誌
Online ISSN : 2433-4480
原著論文
歯科患者を対象とした歯科用局所麻酔剤アルチカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射剤(OKAD01)の臨床用量域の検討(アルチカイン塩酸塩第Ⅱ相試験)
樋口 仁飯島 毅彦北畑 洋藤澤 俊明角南 次郎深山 治久三宅 実鮎瀬 卓郎丹羽 均渡辺 禎久三島 克章細井 宏輝吉田 道弘宮脇 卓也
著者情報
ジャーナル フリー

2024 年 52 巻 1 号 p. 26-36

詳細
抄録

【要旨】 われわれは本邦での歯科用局所麻酔剤アルチカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射剤(OKAD01)の第Ⅰ相試験を実施し,日本人でのアルチカインの薬物動態と安全性を明らかにした.そこで第Ⅰ相試験の結果に基づき,OKAD01の臨床用量域を,有効性および安全性の観点から検討するOKAD01の国内第Ⅱ相試験を実施した.

 歯科治療を受ける20~80歳の日本人成人患者を対象とした.予定された施術内容を用法に基づき,「歯科治療患者を対象とした浸潤麻酔」および「口腔外科患者を対象とした局所麻酔」に分類した.そのうえで,各用法を「施術の侵襲の程度(軽度,中等度,重度)」で分類した.各施術の侵襲の程度に応じた投与目安を設け,用量範囲でOKAD01を口腔内に単回投与した.主要評価項目は,Visual Analogue Scale(VAS)(0~10cm)を用いた患者による歯科施術中の痛みとした.

 治験薬を投与された55例(Safety Data Set:SDS)のうち,治験薬用法違反および適格基準違反の各1例を除いた53例(Full Analysis Set:FAS)における歯科施術中のVASの平均値(両側95%CI)は0.65(0.27~1.02)であった.また用法別では,「歯科治療患者を対象とした浸潤麻酔」(24例)で0.31(−0.04~0.67),「口腔外科患者を対象とした局所麻酔」(29例)で0.92(0.30~1.55)であった.またSDSにおいて因果関係が否定できない有害事象として「舌のしびれ」を1例認めた.

 本治験により本治験で規定および目安とした用法・用量で,日本人成人におけるOKAD01の有効性および安全性が確認された.

著者関連情報
© 2024 一般社団法人日本歯科麻酔学会
前の記事 次の記事
feedback
Top