日本歯科麻酔学会雑誌
Online ISSN : 2433-4480
解説・記事
科学的根拠に基づく経鼻気管挿管方法の確立
佐藤 曾士
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2025 年 53 巻 3 号 p. 169-176

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抄録

【要旨】 本稿では,経鼻気管挿管における ① 消毒方法,② 止血薬の選択,③ 挿管経路,④ 使用する喉頭鏡,⑤ 褥瘡予防の5つの観点について,経験ではなく科学的根拠に基づく知見を概説する.研究の結果,ベンザルコニウム塩化物は持続的な抗菌効果に優れ,菌血症リスクの低減に有効である可能性が示された.エピネフリンとトラマゾリンは鼻出血の抑制において同等の効果を示し,安全性に大きな差はなかった.挿管経路に関しては,右鼻腔の使用が左鼻腔よりも鼻出血の頻度を低減し,挿管時間を短縮する結果が得られた.McGrath MAC喉頭鏡はAirwayscopeやMacintosh喉頭鏡と比較して視野を改善し,挿管時間を短縮する効果が確認された.また,3MマイクロフォームTMサージカルテープは経鼻挿管時の鼻圧迫創傷を予防する効果を示し,柔軟性とコストパフォーマンスの面でも優位性が認められた.これらの成果は,経験に基づく従来の方法に代わり,科学的根拠に基づいた経鼻気管挿管の安全性と効率性を向上させる新たな標準手技の確立に貢献するものである.

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