抄録
本研究では,学校教育現場において自己受容に悩むアテトーゼ型脳性麻痺児に対し読書を通したかかわ
りによる支援をすることで,対象児にどのような心理的変容がみられるかについて検討した。対象児は当
初,移動機能障害を抱えている自分を受け入れることができず,自由に歩くことができる友達のようにな
りたいと羨んでいた。そのため,自分のよさを見出すことができずにいた。しかし,読書を通したかかわ
りを継続することで,他者と比べながら自分のよいところを見つけることができるようになった。そして,
次第に他者と比較せずに自分なりによさを見つけられるように変容した。最終的には,憧れる友達のよう
になる必要性がないことに気づき,ありのままの自分を受け入れるようになっていった。さらには,自分
がこの世に生を受けた意味についても,自分なりの答えを見出し,自分のよさを大事にしていこうとする
姿が見られるようになった。