抄録
ウラナミシジミの雌成虫は, ごく近くに繁殖するフジマメとヤムビーンの花芽に盛んに産卵した. フジマメで見られるウラナミシジミ幼虫による加害は, ヤムビーンでは見られなかった. この幼虫による加害が回避されたのは, ヤムビーンの花芽に含まれる対植食者防御毒が有力と考えられた. ヤムビーンの花芽に加えて葉, 種子から, アワヨトウ幼虫の殺虫活性をもとに, 殺虫成分としてロテノイドを単離した. 単離されたcis-12a-hydroxymunduseroneとcis-12a-hydroxyerosone, cis-12a-hydroxyrotenone, rotenoneの4種のロテノイドの活性と含有量が対食植者防衛の観点から議論された.