本報告は国産材製材品とそれと競合する国内挽き米材製材品及びその他外材も含む製材品を対象に,東北,関東,北陸,中部,近畿,中国,四国,九州の8地域における木材需給構造の特徴を価格弾性値によって把握しようというものである。推定に際しては,各品目毎に需給の部分均衡モデルを作成し,推定結果の一致性が得られるよう2段階最小二乗法,3段階最小二乗法を用いて係数の推定を行った。また,それらの結果と普通最小二乗法により得られる推定結果とを比較検討した。分析の結果,製材品需要の価格弾性値については,全需給関数に関わる外生変数を操作変数推定に用いた2段階,3段階最小二乗法による推定結果が普通最小二乗法によるものよりも各地域とも価格弾性値が大きくなる結果となった。特に東北,関東,北陸,近畿,四国が2.0以上となった。また各地域とも国産材よりも米材の供給価格弾力性の方がより弾力的,即ち,国産材は市況に対する供給反応が敏感ではないことを示していることが分かった。この傾向は普通最小二乗法,2段階,3段階最小二乗法によった場合いずれも同様であった。