抄録
パートナーシップは地域社会で住民参加の森林管理システムを構築する重要な要因である。パートナーシップの形成過程を検討する第一歩として,90の森林ボランティア団体に対するアンケート調査から(1)社会背景,(2)資金・土地・森林管理情報における関係者の役割分担,(3)リーダーシップを分析した。また都市近郊地域2事例のパートナーシップ形成過程を詳しく比較検討した。その結果,パートナーシップには住民(もしくは住民により構成される森林ボランティア団体),森林所有者,行政の3つの主要な関係者があるが,実際の構成員は地域社会の背景によって異なった。またパートナーシップ形成パターンは,住民主導のボトムアップ型と行政が住民参加・パートナーシップによる森林管理を制度化するトップダウン型に大別され,ボトムアップ型3つ,トップダウン型2つの併せて5つの形成パターンが見出された。パートナーシップの形成過程は社会背景に加え,リーダーシップの所在に大きく影響されるといえる。