森林計画学会誌
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集団学習アルゴリズムを用いた地位指数推定モデルの精度および汎化性の検証
美濃羽 靖鈴木 倫史田中 和博
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2009 年 42 巻 1 号 p. 53-67

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抄録
本研究は,GISから得られた地形因子データをもとに,データマイニングで広く用いられているいくつかの分類アルゴリズムと集団学習アルゴリズムおよびm重交差検証法を組み合わせた地位指数の推定をスギ林分に対して行い,そのモデルの汎化性や精度について比較・検討を行った。地形因子データには,有効起伏量,露出度,有効貯留容量,累積流量の4因子を用いた。分類アルゴリズムには,解析ツールとして用いたWEKAに実装されている分類モデルより,分類型モデル,関数型モデルをそれぞれ5種類,計10種類の方法を適用した。集団学習には,代表的なアルゴリズムであるBaggingおよびAdaBoostを用いた。また,すべてのシミュレーションについて,それぞれ10回ずつ行った。その結果,(1)交差検証を行わない場合,全体を通した分類型モデルの正答率の平均は50.0%から100.0%,関数型モデルの相関係数の平均は0.4147から0.9302となった。また,集団学習を併用した場合,分類型モデルでは正答率が改善される傾向を示したが,関数型モデルではそれほど改善されず,むしろ悪くなる場合も多々見られた。(2)交差検証を行った場合,関数型モデルでは極端に推定精度が低下した。分類型モデルでは,モデルの違いによる正答率の差は,全体的に小さくなった。(3)交差検証回数,集団学習の繰り返し回数を増加させると推定精度は向上する傾向を示した。
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© 2009 森林計画学会
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