2014 年 48 巻 1 号 p. 27-24
第2優占種のイジュは,60年生二次林の幹本数密度が非皆伐成熟林よりも大幅に低かった。その他にも,60年生二次林ではイスノキの再生が遅れ,オキナワウラジロガシの定着がほとんど見られないなど,非皆伐成熟林とは林分構造が大きく異なることが明らかになった。さらに,非皆伐成熟林のほうが,単位面積あたりの出現樹種数が明確に豊富であった。やんばる地域では,原生的な森林は限定的であるうえに分断されているが,この地域の生態系と生物多様性は現在まで残り世界的に評価されている。そのため,今後はこれらの原生的な非皆伐成熟林と周辺の二次林を適切に管理し,その生態系と生物多様性の維持・復元に努める必要がある。