2017 年 50 巻 2 号 p. 85-90
トドマツ人工林内に天然更新したトドマツ稚幼樹の上木皆伐後の生残と成長を調査した。伐出時の被害率は3.8%であった。皆伐から3年半後の生存率は57%であった。伐採から3ヶ月後には稚幼樹の葉が褐変したが,その後褐変率は減少し,皆伐2年後には対照区と同等の水準となった。皆伐1年後から平均樹高が大きくなる傾向が見られた。伐採後に着葉率が低下したが,伐採1年半後には対照区と同程度に回復し,2年半後には対照区よりも高くなった。上木の皆伐によってトドマツ前生樹の成長を促すことが可能な場合もあると考えられた。