2020 年 54 巻 1 号 p. 13-22
蝦名益仁・石塚航・阿部友幸:地上レーザ測量とボクセル解析を用いた40年生常緑針葉樹の三次元形状の推定,森林計画誌54:13~22,2020 地上レーザ測量によって高密度の三次元点群データが取得できるようになり,林分の三次元情報の森林分野への応用が期待される。それには,精度良く三次元形状を推定する技術が求められる。そこで,空間を仮想的な立方体で区切って情報縮約するボクセル解析が有効とみられる。本研究では,季節問わず着葉がみられる常緑樹で,また,樹体が大きく三次元構造が発達した高齢級林分で,実際に三次元形状を推定できるか検討した。対象としたのは,北方林の主要構成種トドマツの40年生林である。地上レーザ測量で得られた点群データより幹直径の高さ別の推移を把握し,また,8つのサイズを設定したボクセル解析により,地上から2mごとの層で幹体積と枝葉バイオマスを推定した。また,対象木を倒してこれらの実測値を測定し,ボクセル解析による推定値と比較した。地面から樹体の6割以上の高さまで幹直径が得られ,RMSE は2.30cm だったが,高い位置ほど誤差が大きい傾向があった。幹体積は最大ボクセルサイズの場合(0.2m)を除いて実測値と高い相関を示し,ボクセルサイズ0.08m のときに最もよく説明できた(R2=0.87)。一方,枝葉バイオマスは最もよく説明できたボクセルサイズ0.08m のときでもR2=0.34と,全体的に推定の精度は低かった。