The Japanese Journal of Gastroenterological Surgery
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Hiroya Kuroyanagi
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2021 Volume 54 Issue 8 Pages en8-

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新型コロナウイルス(COVID-19)は第5波を迎え,いまだ先の見えない戦いに気分の晴れない日々が続いています.一方,そんな中開催された東京オリンピックでは連日,とても大きな感動をもらっています.日本選手の活躍はもちろん嬉しいですが,全力を尽くして戦った選手たちが勝っても負けても相手を讃える,その姿に私は胸を打たれます.相手のミスを喜ぶような小さな心では,きっとオリンピックで戦うレベルには到達できないのでしょう(もちろん私は「落ちろー」「転べー」と応援してしまう俗物ですが).手術もスケールは違いますが,どんなに知識や技術を持っていても,最後は「折れない心」が結果を左右するところは同じですね.開催に賛否があり,何が正解なのかわかりませんが,少なくとも選手たちから大きなエネルギーをもらっていることは確かです.ガラガラの客席を見るにつけ,スポーツを会場で安心して観戦できる日が少しでも早く戻るのを願わずにはいられません.

さて,本誌第54巻第8号は症例報告9編で構成されていますが,私の一押し論文は「括約筋間直腸切除後の直腸膣瘻に対する内陰部動脈穿通枝皮弁充填術の1例」です.大腸外科医なら一度は遭遇する悩ましい直腸膣瘻を,形成外科とのコラボで見事に治しています.直腸膣瘻は単純閉鎖で治すのはかなり難しいと思います.私自身はMilsom先生直伝の方法を行うのですが,瘻孔が大きい場合は,この論文に示された有茎皮弁も有用だと思い紹介させていただきました.

最後に私事になりますが,2017年から本雑誌の編集委員を務めておりましたが,今月を持ちまして退任させていただくことになりました.毎月送られてくる論文を査読するのは,慣れない私にとって時に大変でしたが,多くの外科医の方々の本当に貴重な臨床経験を共有する機会を与えていただき,とても勉強になりました.ありがとうございました.

 

(黒栁 洋弥)

2021年8月1日

 

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