2023 Volume 56 Issue 1 Pages 1-9
症例は72歳の女性で,左乳癌の診断で左乳房切除術を施行し,最終病理結果は浸潤性小葉癌の診断であった.乳癌手術から6年後に黄疸を認め,腹部造影CTにて十二指腸乳頭部に径19 mm大の腫瘤影を認めた.病理組織学的検査所見で異型細胞を認め,非露出型十二指腸乳頭部癌の診断で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的検査所見で十二指腸乳頭部に境界明瞭な結節性病変を認めた.乳癌と類似した組織形態を呈し,免疫染色検査の結果,乳癌の十二指腸乳頭部転移と診断した.術後の経過観察中に子宮転移を認め,全身化学療法を施行したが,その後に腹膜播種と脳転移を認め膵手術から11か月後に永眠された.乳癌の消化管転移については報告が散見されるが,十二指腸乳頭部転移は極めてまれである.今回,乳癌手術から6年後に閉塞性黄疸で発症した十二指腸乳頭部転移の1切除例を経験したので報告する.
A 72-year-old woman had undergone left mastectomy for invasive lobular carcinoma 6 years ago. She developed jaundice during follow-up, and abdominal enhanced CT revealed a 19-mm mass in the duodenal papilla. Histopathological examination of endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration biopsy revealed atypical cells, which led to diagnosis of primary duodenal papillary cancer. Subtotal stomach-preserving pancreaticoduodenectomy was performed. Histopathological examination revealed a well-defined nodular lesion in the duodenal papilla that exhibited the pathological features of primary breast cancer. An immunohistopathological examination confirmed metastasis of breast cancer to the duodenal papilla. During postoperative follow-up, uterine metastasis was detected and systemic chemotherapy was administered. However, peritoneal disseminated metastases and brain metastasis were subsequently detected, and the patient died 11 months after the pancreatic surgery. Gastrointestinal metastasis of breast cancer has been reported in several cases, but duodenal papilla metastasis is extremely rare. Here, we report a case of resection of duodenal papilla metastasis that developed with obstructive jaundice 6 years after surgery for breast cancer.
乳癌の主な転移臓器は肺,骨,肝臓で多いことが広く知られている.本邦において,乳癌の胃や十二指腸などの消化管転移や膵臓への転移に関する報告は散見されるものの1)~3),十二指腸乳頭部転移は極めてまれである.また,乳癌の遠隔転移は単発であっても微小転移巣が全身に散在している可能性が高いため,薬物療法などの全身療法が基本となる4).
今回,我々は乳癌手術から6年後に閉塞性黄疸で発症し,術後に乳癌の十二指腸乳頭部転移と診断された1例を経験したので報告する.
患者:72歳,女性
主訴:黄疸
既往歴:乳癌
家族歴:特記すべき事項なし.
現病歴:当院で左乳癌の診断で左乳房切除術を施行し,病理結果は浸潤性小葉癌(invasive lobular carcinoma;以下,ILCと略記),pT2,N0,M0 Stage IIA(乳癌取扱い規約第16版)であった.ER,PgRは微弱な陽性反応を示し,HER2は陰性であったため,アロマターゼ阻害薬にて術後補助療法を行った.
乳癌手術から26か月後に胸椎転移を認め,全身化学療法としてカペシタビンとシクロフォスファミドの併用療法を開始した.治療経過中,乳癌手術から31か月後に局所再発を認め部分切除術を施行した.その後,転移性乳癌に対する全身化学療法としてカペシタビン単剤投与を36か月間継続していた.外来経過観察は4週毎に行っており,その経過中,3か月毎の腫瘍マーカー(CEA,CA15-3,NCC-ST-439)の評価と3~6か月の間隔でCTによる画像評価を行っており,病勢の安定と新規の遠隔転移がないことを確認していた.
今回,乳癌手術から6年後の外来経過観察中に肝機能障害,皮膚黄染,皮膚掻痒感などを認め精査加療目的に入院となった.
入院時現症:身長151 cm,体重44.0 kg,血圧98/58 mmHg,脈拍80回/分,体温36.6°C,眼球黄染,全身に皮膚黄染を認めた.
入院時血液検査所見:T-bil 4.0 mg/dl,D-bil 2.7 mg/dl,AST 88 IU/l,ALT 126 IU/l,ALP 908 IU/l,γ-GTP 181 IU/lと肝胆道系酵素の上昇を認めた.また,CEA 27.1 ng/ml,CA19-9 50.2 U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた.上記のように3か月毎に腫瘍マーカーの測定を行っていたが,3か月前のCEA値は16.8 ng/mlと上昇傾向を認めていた.CA19-9値について,減黄後は26.3 ng/mlに低下した.
腹部造影CT所見:肝内・肝外胆管の拡張を認めた(Fig. 1A).十二指腸乳頭部に径19 mm大の腫瘤影を認めた(Fig. 1B).
Contrast-enhanced CT of the abdomen at the time of admission. (A) Dilatation of the intrahepatic and extrahepatic bile duct. (B) A tumor of 19 mm in diameter was observed in the ampullary region.
内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)所見:胆管の拡張像と下部胆管に狭窄像を認め,経鼻胆道ドレナージを施行した(Fig. 2C).
Upper gastrointestinal endoscopic ultrasound and endoscopic retrograde cholangiography. (A) A swollen major papilla was seen on endoscopy. (B) Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration. (C) Endoscopic retrograde cholangiography showed bile duct dilatation and stenosis of the lower bile duct.
胆道ドレナージ検体から計8回の胆汁細胞診を施行したが,いずれもClass II以下の結果であった.そのため,再度ERCP施行時に2回,計15か所の透視下生検を施行した.しかし,病理組織学的検査所見では表層の粘膜上皮細胞から軽度の核異型が認められたが,少量かつ異型が弱いため癌の診断は得られなかった.よって,確定診断を得るためにendoscopic ultrasound-fine needle aspiration(以下,EUS-FNAと略記)を行う方針とした.
超音波内視鏡検査所見:十二指腸乳頭部に引きつれを伴う非露出型の腫瘤を認めた(Fig. 2A).超音波画像では乳頭部に一致し,膨張性の低エコー腫瘤を認め,固有筋層は肥厚し不明瞭化していた.また,膵実質への浸潤が疑われた.十二指腸乳頭部のEUS-FNAを施行した(Fig. 2B).病理組織学的検査所見では結合性の乏しい異型細胞が認められたが,胆管生検同様に細胞数が少量であり,また,挫滅によるアーチファクトが加わり変性を伴っていたため癌と診断することはできなかった.
FDP-PET所見:十二指腸乳頭部に異常集積所見を認めた(SUVmax 4.4)(Fig. 3).
FDG-PET/CT showed abnormal uptake in the duodenal papilla (SUVmax 4.4).
これまでの臨床経過と検査結果から治療方針に関する合同カンファレンスを行った.その結果,異型細胞が複数の検体から検出されている点,FDG-PET所見で十二指腸乳頭部に異常集積を認めたことから,非露出型十二指腸乳頭部癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を行う方針となった.
手術所見:腹腔内に肝転移,腹膜播種を含む遠隔転移を示唆する所見は認めなかった.十二指腸乳頭部に硬結性腫瘤を触知した.膵頭部周囲に明らかな癌浸潤は認めず,亜全胃温存膵頭十二指腸切除(II-A-1)を施行した.
病理組織学的検査所見:肉眼的には,十二指腸乳頭部に硬い腫瘤を認めた(Fig. 4A).割面では十二指腸乳頭部に結節性病変を認め,膵実質,十二指腸壁,胃壁に不整な進展を認めた(Fig. 4B).胆管上皮に明らかな粘膜不整は認めなかったが,十二指腸乳頭部から30 mmにわたり内腔の狭窄所見を認めた.病理組織学的にも同様に,十二指腸乳頭部の結節性病変は,胆管壁,膵実質,十二指腸壁,胃壁へと広範に浸潤を認めたが,消化管粘膜面や胆管上皮への腫瘍細胞の露出は認めず,消化管粘膜下と胆管上皮下に広く進展していた.濃染,腫大した核を有する異型細胞は腺管形成が乏しく,部分的に索状配列を示した(Fig. 4C, D).組織学的所見では前回の乳癌組織と類似していた(Fig. 4E).免疫染色検査の結果,ER(–),PgR(–),CK7(+),CK20(–),GCDFP15(+)であり(Fig. 4F),乳癌(ILC)の十二指腸乳頭部転移と診断した.
Pathological findings. (A) The resected specimen contained a hard mass in the duodenal papilla. (B) The cut surface of the resected specimen showed a well-defined mass invading the pancreas, duodenum and stomach. (C–F) Immunohistological examination of the ampullary tumor showed evidence of invasive lobular carcinoma. (C) HE staining, ×200. (D) HE staining, ×400. (E) Histological findings for the breast tumor indicated invasive lobular carcinoma (×400). (F) The specimen was positive for gross cystic disease fluid protein-15 in immunohistochemistry.
術後経過:特記すべき合併症を認めず,術後13病日に退院となった.退院後3週目に軽度の不正出血を認めたため,婦人科で子宮内膜細胞診を施行したところ乳癌子宮転移と診断された.膵手術から2か月後より転移性乳癌に対してエリブリン,パクリタキセル,ビノレルビンなどの全身化学療法を行ったが,その後,腹膜播種と脳転移が出現し,膵手術から11か月後に永眠された.
本症例は乳癌手術から6年後に十二指腸乳頭部腫瘤による閉塞性黄疸を認め,EUS-FNAなどの精査で十二指腸乳頭部癌が疑われ,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.最終病理組織学的検査で乳癌の十二指腸乳頭部転移と診断された.膵手術から3週後に子宮転移を認め,全身化学療法を施行したが,その後に腹膜播種と脳転移を認め,膵手術から11か月後に死亡された.
乳癌の主な転移臓器は肺,骨,肝臓で多いことが報告されている.乳癌の十二指腸乳頭部転移に関して,1964年~2021年12月の期間で医学中央雑誌において,キーワードを「乳癌」,「十二指腸乳頭部転移」で会議録を除いて検索したところ,乳癌の十二指腸乳頭部転移の報告は認めなかった.また,1950年~2021年12月の期間でPubMedにおいて,キーワードを「breast cancer」,「ampullary metastasis」,「duodenal papilla metastasis」で検索した結果,乳癌の十二指腸乳頭部転移は9例報告されていた5)~12).自験例を含めた10例をTable 1に示す.原発巣である乳癌診断時の年齢は39歳~68歳であり,3例に原発巣と同時性に十二指腸乳頭部転移を認めた.十二指腸乳頭部転移と診断されるまでの期間は原発巣切除後2~6年であり,本症例は6年と最も長期間経過後に十二指腸乳頭部転移を認めた.本症例も含め全例が黄疸を契機に発見され,十二指腸乳頭部転移が初回転移であった症例は6例で,その他の4例は十二指腸乳頭部転移発症前に骨転移,胸壁転移,局所再発などの転移を認めた.
No. | Author | Year | Age at primary surgery (years) | Interval between surgery for breast cancer and metastatic diagnosis (years) | Chief complaint | Histopatho-logical findings of breast cancer | Hormone receptor status | Other metastasis between breast surgery and ampullary metastasis | Diagnostic procedure | Histopathological findings | Diagnosis | Surgery | Adjuvant therapy | Recurrence after surgery | Prognosis (months) |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Titus5) | 1997 | 50 | 4 | Jaundice, diarrhea | IDC | ER(+), PgR(+) | No | ERCP brushing | Cellular atypia | Primary | PD | Chemotherapy | No | 4 (alive) |
2 | Nomizu6) | 1999 | 40 | 6 | Jaundice, fatigue | ILC | ER(–), PgR(+) | No | ERCP forceps biopsy | Adenocarcinoma | Primary | PD | Chemotherapy | No | 14 (alive) |
3 | Crippa7) | 2004 | 67 | 3 | Jaundice, weight loss | ILC | ER(+) | No | N/A | N/A | Primary | PPPD | Hormonal therapy | No | 37 (alive) |
4 | Rego8) | 2009 | 39 | 0 | Jaundice, nausea | ILC | N/A | No | ERCP brushing forceps biopsy | Metastasis | Metastasis | Gastroenterostomy | No | N/A | N/A |
5 | Rego8) | 2009 | 66 | 2 | Fatigue, jaundice | IDC | N/A | No | ERCP brushing forceps biopsy | Metastasis | Metastasis | No | Chemotherapy | N/A | N/A |
6 | Molino9) | 2014 | 68 | 0 | Jaundice, fatigue | ILC | EgR(+) PgR(+) HER2(–) |
No | ERCP forceps biopsy | No | Primary | PD | Hormonal therapy | No | 12 (alive) |
7 | Bastos10) | 2014 | 63 | 2 | Jaundice | ILC | N/A | Bone | ERCP papillotomy | Metastasis | Metastasis | No (duodenal stent) | No | N/A | N/A |
8 | Giestas11) | 2016 | 59 | 0 | Jaundice | IDC | N/A | Bone | ERCP forceps biopsy | Adenocarcinoma | Metastasis | No (duodenal stent) | Chemotherapy | Yes | 12 (dead) |
9 | Lin12) | 2019 | 42 | 3 | Jaundice | IDC | ER(–) PgR(–) HER2(+) |
Chest wall, lung, liver | ERCP brushing | Adenocarcinoma | Metastasis | Papillotomy | No | Yes | 3 (dead) |
10 | Our case | 66 | 6 | Jaundice | ILC | ER(+) PgR(+) HER2(–) |
Bone, local recurrence | ERCP forceps biopsy EUS-FNA | Cellular atypia | Primary | SSPPD | Chemotherapy | Yes | 11 (dead) |
ER, estrogen receptor; PgR, progesterone receptor; PD, pancreaticoduodenectomy; ERCP, endoscopic retrograde cholangiopancreatography; EUS-FNA, endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration; IDC, invasive ductal carcinoma; ILC, invasive lobular carcinoma; N/A, not applicable; PPPD: pylorus-preserving pancreaticoduodenectomy; SSPPD, subtotal stomach-preserving pancreaticoduodenectomy
原発巣の組織型は本症例と同様のILCが6例,浸潤性乳管癌が4例とILCが多い結果であった.ILCは乳癌取扱い規約第18版では浸潤癌の特殊型の一つとして分類されている13).ILCは近年増加傾向にあるものの,欧米に比べ本邦での頻度は低く,3~4%程度であると報告されている14).また,特異的な転移様式として消化管転移,腹膜播種,卵巣転移を起こしやすいと報告されている15)16).早川ら1)の報告によると,本邦でのILCの消化管転移は胃転移40%,十二指腸転移44%,小腸転移8%,大腸転移14%であった.また,膵転移に関してMolinoら9)は,23例中14例がILCであったと報告している.以上から,ILCであった場合は消化管,膵臓などの消化器系臓器への転移も考慮する必要があると考えられた.
術前に乳癌の十二指腸乳頭部転移と診断できなかった症例は本症例を含め5例であったが,全例に膵頭十二指腸切除術が施行されており,十二指腸乳頭部転移と診断された症例は,全例に化学療法あるいは緩和的治療が行われていた.膵頭十二指腸切除術が施行された症例のうち,本症例を除く4例においては,術後4~37か月の無再発生存を報告している.乳癌手術から黄疸発症までの期間は0年,3年,4年,6年と1例を除くと比較的長期経過後に十二指腸乳頭部転移を発症しており,十二指腸乳頭部転移以外の他臓器転移は認められなかった.
乳癌の遠隔転移の予後については,国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」では,がん診療連携拠点病院の乳癌Stage IVの5年相対生存率は38.7%と報告されている17).治療について,乳癌の遠隔転移は多発あるいは多臓器に進展することが多く,単発であっても微小転移巣が全身に散在している可能性が高いため,薬物療法などの全身療法が基本となる4).よって,遠隔転移の切除適応に関して,乳癌診療ガイドラインでは生存期間の延長に寄与するエビデンスは存在しないため,症状緩和目的,転移か原発性腫瘍かの鑑別,バイオマーカーの確認目的,などに限定することが推奨されている4).一方,単一臓器の少数転移(oligometastasis)に対して,切除することで生存率が延長するという報告も存在する18).また,肺転移単独症例に対する肺切除は長期生存を期待できる報告もあり19),乳癌術後に肺腫瘤を認めた場合は診断と治療を兼ねた肺切除は考慮できるとされている4).十二指腸乳頭部転移に関しては,外科切除として膵頭十二指腸切除が必要となる.膵頭十二指腸切除は高度侵襲手術であるため,十二指腸乳頭部転移と術前診断された場合,本症例のように潜在的な他臓器転移の可能性を考慮すると,ガイドラインの推奨に準じ化学療法を先行することが望ましいと考えられた.
上述のように,十二指腸乳頭部転移に関しては術前に確定診断が得られた場合は,通常の十二指腸乳頭部癌と治療方針が異なるため,術前診断が重要となる.しかし,臨床徴候やCTやMRCPなどの画像検査で両者を鑑別することは困難である12).乳癌の組織型に関しては,上述のように,ILCの場合は十二指腸乳頭部転移を考慮する必要がある.乳癌術後に閉塞性黄疸を認める十二指腸乳頭部腫瘤の精査において,胆道ドレナージに引き続き,胆汁細胞診やERCP下生検を行うことが予想される.その際,本症例のように複数回の細胞診,組織検査でも癌細胞が検出されない場合は十二指腸乳頭部転移を考慮する必要がある.
近年,従来の細胞診,組織診で確定診断が得られない症例に対しては,EUS-FNAが最も期待される術前検査法である.本症例においても複数回の細胞診,組織診で確定診断が得られなかったためEUS-FNAを施行したが,検体の挫滅が目立つこと,病変量が少なかったため乳癌十二指腸乳頭部転移の確定診断は得られなかった.EUS-FNAの穿刺針別の診断精度に関してはSongら20)が報告している.膵周囲腫瘤に対して,穿刺針を19Gと22Gと比較した場合,19 G針は手技的難度が高度であるが,得られる細胞量は有意に多いことを報告した.本症例では22G針を用いたEUS-FNAを行ったが,19Gを用い再度EUS-FNAを行っていれば確定診断に至った可能性も示唆された.
今回,乳癌術後の十二指腸乳頭部転移の1例を経験した.乳癌術後の長期間無再発例,他臓器転移を認められない症例に対しては膵頭十二指腸切除も適応となる可能性はあるが,極めて少数例の解析である点,潜在的に他臓器転移が存在する可能性を考慮すると全身化学療法を先行することが望ましいと考えられた.よって,術前確定診断が重要であるため,確定診断が得られない場合は太い穿刺針を用いたEUS-FNAを行うことで確定診断に至ることが期待される.
本論文の内容は第15回日本消化器外科学会大会で発表したものである.
利益相反:なし