日本衛生学雑誌
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脳卒中が何故日本に多いかについての疫学的考察
高橋 英次
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1962 年 17 巻 2 号 p. 81-94

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抄録

脳卒中が何故日本に多いかという問題について,これを国際的視野から眺め検討する目的で, WHOに人口動態統計を報告している国々のうち西欧20か国を選び,脳卒中死亡率並びに動脈硬化性変性性心疾患死亡率とFAOによる食品群別の国民的平均配分量との間に相関を求めた。その結果脳卒中死亡率は概して穀類の消費量が大で油脂類・乳類・芋類等の消費量の少い国に高いような傾向がみられた。
さらに国際的にみて日本人に次いで脳卒中死亡率の高い米国黒人の多く居住する同国南部の栄養摂取状況を検討した結果,日本ことに東北地方農村にみられると同様の栄養上の欠陥のあることを認めた。すなわち無機質ことにCaとビタミン類の不足である。土壤や河川水,水道水中の無機質と脳卒中死亡率との関係を追求した研究があるが,著者は食物中に含まれる無機質ことにCaとビタミン類のもつ意義の少くないであろうことを強調した。

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