日本衛生学雑誌
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アルキル鉛化合物の生体内動態と微量分析法に関する研究
第2編 アルキル化合物の生体内動態の研究
早川 清子
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1972 年 26 巻 6 号 p. 526-535

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抄録
第1編で報告した分析法を用いて, 3ML, 3EL, 4ML, 4ELを投与したラッテ, マウスにおける臓器中の4AL, 3ALの生体内動態を検討した。
4ML投与ではラッテの3ML臓器分布はマウスに比べて著しく低く, 4ELではラッテ, マウスではその差はあまり大きくなかった。ラッテでは臓器からの3ALの減少がマウスに比べておそい。これは4ALが一たん3ALになって臓器にたくわえられるとそれはなかなか減少しがたいことを示した。
またマウスに4ML, 4ELを投与した場合, 体内においてこれらが3ML, 3ELへ分解する速度の割合を検討した。4MLは2日後に体内の3ML量が最高に達して投与量のほぼ50%が3MLに変化した。一方4ELは3日後に約30%が3ELに変化した。この場合, 投与溶媒により体内への吸収速度が異なるので体内量が最高に達する時間も異なる。4MLはマウスに毒性が強いのに対して, ラッテは弱く, 4ELはマウスとラッテであまり差がみとめられなかったが, わずかにラッテに強い傾向を示した。
加鉛ガソリン使用作業者はその接触度に応じて尿中のアルキル鉛が検出される。このことから尿中のアルキル鉛の測定を行なうことにより4ALによる暴露度を知り, 健康管理の一指標とすることができる。
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