日本衛生学雑誌
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四塩化ビフェニール注射家兎における血漿トリグリセライドの代謝について
森田 博行大道 正義小池 重夫
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1974 年 28 巻 6 号 p. 505-510

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抄録

体重1kg当り0.3mlの20%四塩化ビフェニール (TCB) オリーブ油液をオス家兎に週3回, 約2週間, 皮下注射した後 glycerol-2-3H (200μCi/mM) を耳静脈より注射して一定時間ごとにカテーテルで股動脈より採血し, 血漿中のラベルされたトリグリセライド (TG) を液体シンチレーションカウンターで測定した。このTGの放射活性からTGの fractional turnover rate 及び turnover rate を求め, 未処置の正常家兎群及び体重1kg当り0.27mlのオリーブ油のみを注射した家兎群から得た値と比較した。
TCB注射家兎群の血漿TGは未処置及びオリーブ油注射家兎群に比べて夫々約4又は3倍増加した。又TCB注射家兎群の血漿TGの turnover rate は未処置及びオリーブ油注射群に比べて有意に増加し, fractional turnover rate はオリーブ油注射群にのみ有意の減少を示した。
血漿TG濃度と turnover rate の対数値の相関図から, 未処置及びオリーブ油注射群の回帰曲線を求め, TCB注射群の値をプロットすると, 曲線の延長にある一群と, 曲線の下方に位置する一群がある。この図から, TCB注射に伴う家兎の血漿TGの上昇は, 一部は血中への influx の増加によるが, 一部は末梢における血中よりの efflux の阻害によることが示唆された。

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