抄録
亜硫酸ガスによる呼吸反応をddマウスを用いて研究した。亜硫酸ガスによる刺激感覚は, 急速な呼吸数減少をひきおこし, 数分後にはその極に達し, しかる後, ばくろ中に除々に回復していった。最大反応の程度は, ばくろ濃度と直接関係がある。キシロカインエロゾルは, 亜硫酸ガスに対しての呼吸反応に変化をあたえなかった。このことは, 亜硫酸ガスに対しての感覚受容器は, 局所麻酔によって影響をうけないことを示す。ある濃度の亜硫酸ガスによって, その刺激に対する感受性を失ったマウスは, 別なより高い濃度の亜硫酸ガスに対して尚反応を示したが, あらかじめ亜硫酸ガスへのばくろをうけていない正常マウスよりも感受性が低い。感受性喪失の速度は, 亜硫酸ガスの濃度よりもむしろ時間に関係していたが, 感受性喪失の強さには, ある限度があり, それは亜硫酸ガスの濃度によるらしい。