日本衛生学雑誌
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大牟田市における肺癌死亡の疫学的研究
特にCase-control-studyによる大気汚染,職業因子,喫煙についての分析
江崎 廣次張 正博
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1977 年 31 巻 6 号 p. 703-710

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抄録

大牟田市を中心に,肺癌死亡の統計的観察ならびに肺癌死亡者およびそれと1:1の割合でmatchさせたcontrolをとり,case-control-studyを245組について実施し,次の結果を得た。
1. 大牟田市は全国平均,近接市郡の久留米市,大川市および三潴郡にくらべて肺癌死亡が有意に多い。
2. 大気汚染を考慮した居住歴と肺癌死亡との間に,有意の関係を認め得なかった。
3. 喫煙との関係では,肺癌死亡者に男女とも多量喫煙のものが有意に多かった。
4. 肺癌死亡者に多い職種は,コークス製造作業,製錬作業および自動車運転手などであった。
以上のことから,大牟田市肺癌死亡の多い原因が有害職種によることが明らかになったが,さらにこれら有害職種の退職者についての追跡調査を試みたいと思う。

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