歯質中の亜鉛およびマグネシウムの定量分析を行い, その結果にもとづいて濃度分布および金属間相関性について検討した。その結果次のような傾向を把握した。
1) 分析方法
歯質中のマグネシウムおよび亜鉛の定量分析を行うかぎりにおいては, 20%塩化カルシウム溶液を溶媒とした標準溶液を調製し, 検量線を作成して定量分析を行うことにより, 良好な結果を得た。
2) 濃度分布
マグネシウムおよび亜鉛の濃度分布型は, いずれも対数正規分布を示した。
また, エナメル質および象牙質中のマグネシウムの濃度分布型は酷似したが, 亜鉛にはそのような傾向はみられなかった。
3) 相関性
Ca/Pとマグネシウムとの相関は高く, 亜鉛との相関は低い結果を示した。とくにマグネシウム濃度は, エナメル質および象牙質間で極めて高い相関性を示した。