抄録
KMnO4を使用するCOD測定は排水規制や公共用水域の汚濁指標として広く行われている。しかし成分物質とCODMn値の関係は不明の点が多い。
脂肪族アミンは臭気成分として知られ,汚水中では蛋白質,アミノ酸からの生成が考えられる。これらのKMnO4を使用するCODMnについて,系統的に検討した。CODMnの測定法はセミミクロ法による酸性,アルカリ性を使用した。試料水を共に20mlに減少したこの方法による測定値は公定法とよく一致することを前に報告している。まず酸性でC1∼C3-アミンはCODを示さず,C4-アミン以上ではモル濃度の増加と共に徐々に増加した。銀塩添加によるCOD上昇効果は殆ど認められなかったのは,対応酸の生成量が少ないためと考えられる。一方アルカリ性では酸化率30%前後のかなり高いCOD値を示した。アルカリ性で加熱分解した処理液を硫酸を加えて酸性として蒸留分離しGCで測定したところ,分解生成物として同一炭素数の脂肪酸およびより低級の生成酸を認めた。これからアミノ基が脱離してカルボン酸を生成し,更に酸化分解している機構が明らかとなった。また脱離したアミノ基はアンモニアを生成していることが確かめられた。これらアミンのBODはかなり高く,平均33.9%を示し高級アミンになる程増大する傾向を示した。4級アミンでは酸性,アルカリ性共に非常に低いCOD値を示したが,塩化ベンゼトニウムやコリンでは酸性またはアルカリ性で高い酸化率を示した。これらの検討結果はアミン類に起因するCODMnを評価する時に必要であるばかりでなく,アミノ酸や蛋白質のCODを考察する際に重要な根拠となることが予想される。