日本衛生学雑誌
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タマシロオニタケ抽出物のマウスに及ぼす生化学的影響並びに培養細胞毒性
山浦 由郎和田 正道込山 茂久福原 守雄高畠 英伍橋本 隆
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1984 年 39 巻 5 号 p. 855-861

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抄録

タマシロオニタケの熱水抽出物のマウスに及ぼす生化学的影響並びに培養細胞毒性を検討し次の結果が得られた。
1.マウス(28∼32g)腹腔内投与48時間におけるLD50はキノコ湿重量にして4.5kg/kgであった。(Behrens-Kärber法)
2.生化学的変化は血糖が投与6時間後から有意に減少し,GOT及びBUNは投与3時間後から有意に増加し,GOTが投与12時間後,BUNは15時間後において各々著しく上昇し,24時間経過後も低下しなかった。
3.肝臓重量は有意に増加し,肝グリコーゲンは対照の約1/10に減少,またG-6-Pase,G-6-P DHも有意に減少した。
4.血液及び尿中窒素化合物検査値の異常が観察され,血中のアンモニア,尿酸,クレアチニンは有意に増加し,尿中の尿酸,クレアチン,クレアチニンも増加傾向を示した。
5.臨床血液生化学検査においても測定した全ての項目で異常が認められた。
6.KB培養細胞に対してはコロニー形成が全く認められなかった。
タマシロオニタケは糖代謝に影響を及ぼし,肝機能及び腎排泄機能障害を起こすことが推定された。

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