日本衛生学雑誌
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日本人の常用食品の消化吸収率とエネルギー利用率に関する研究
第3報 穀類
今木 雅英三好 保藤井 正信勢井 雅子多田 敏子中村 武夫棚田 成紀
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1990 年 45 巻 2 号 p. 635-641

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抄録

日本人を対象とした穀類の消化吸収率およびエネルギー利用率に関する正確なデータがほとんどないので,これらの値を算出した。対象者は日本人青年男子4名である。7日間の基礎食,それに続いて精白米,小麦粉,そば粉のテスト食品を7日間摂取させた。実験期間中に排泄された糞および尿は全量採取し分析に供した。基礎食期とテスト食期の成分の差によって,消化吸収率およびエネルギー利用率を算出した。以下はその結果である。
1) 蛋白質の消化吸収率は,精白米(粒状)89.6±5.0%,小麦粉(粉状)93.4±2.9%,そば粉85.1±2.5%であった。
2) 脂質の消化吸収率は,精白米93.6±1.8%,小麦粉70.8±13.5%,そば粉103.1±8.4%であった(脂質は実験食での摂取量が少なかったため誤差も大きかった)。
3) 炭水化物の消化吸収率はほとんど100%であった。
4) 正味エネルギー利用率は,精白米100.6±1.4%,小麦粉96.5±1.1%,そば粉96.0±1.1%であった。

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