日本衛生学雑誌
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発癌性グルタミン酸熱分解物及びそのN-アセチル化物のヒト尿中排泄量の測定
金井 好克和田 攻真鍋 重夫
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1991 年 46 巻 4 号 p. 922-929

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抄録

Glu-P-1,Glu-P-2は,グルタミン酸熱分解物から単離精製された変異原性発癌性複素環状アミンであり,これまでに加熱食品,タバコ煙などに検出されている。本研究では,高速液体クロマトグラフを用い,Glu-P-1,Glu-P-2,及びそのN-アセチル化物の尿中への一日排泄量の測定を行った。排泄量には個体間でのばらつきが認められたが,これらの物質は全検体中に検出された。Glu-P-1,N-acetyl-Glu-P-1,Glu-P-2,N-acetyl-GluP-2の尿中一日排泄量の平均値は,それぞれ,0.53,0.41,2.12,4.60pmolであった。組織におけるN-アセチル化能を検討する目的で,さらにin vitroの実験を行った。その結果,肝及び腎由来の細胞可溶性画分に,Glu-P-1,Glu-P-2のN-アセチル化活性が示され,肝のみでなく,それ以外の組織もこれらの物質のN-アセチル化に関与していることが示唆された。以上の結果は,Glu-P-1,Glu-P-2が,肝や腎などの代謝臓器において一部N-アセチル化を受け,N-アセチル化物とともに尿中に排泄されていることを示すものである。Glu-P-1,Glu-P-2,及びそのN-アセチル化物の尿中への一日排泄量は,人体への暴露量を評価する際の有用な指標となると思われる。

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