日本衛生学雑誌
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青少年期における「健康的な食生活」に対する解釈と関連要因に関する研究
清水 愼萩原 明人信友 浩一
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2006 年 61 巻 1 号 p. 63-68

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抄録

本研究には次の課題がある。(1)対象者は無作為抽出ではなく,特定の学校の,特定の学年のみを対象とした。従って,得られた知見の外的妥当性に関しては,注意を要する。今後は,調査地域や対象学年を増やしたサンプル数の検討や縦断的な調査による更なる検討が必要と考えられる。(2)今回の研究では学校別の解析のみを行った。今後は学年毎に解析をおこない,学年別の変化を検討する必要があると思われる。(3)食意識の関連要因を検討するための重回帰モデルでは,ほとんどのモデルで決定係数が低かった(0.07∼0.13)(表4)。これは,取り上げた変数以外の要因が関与している可能性を示しており,今後の検討課題である。(4)生活環境に関する要因を集約するため,因子分析を用いた。しかし,一部の因子の信頼性係数(クロンバックα係数)が0.50を下回った(表1)。可能性として,サンプル数,調査時期,質問内容等に関する問題が考えられる。この点についても今後,更に検討する必要性がある。
最後に今回得られた知見は次のように要約できる。(1)青少年の「健康的な食生活」に対する解釈は,大人と同様に2因子から成っていたが,その内容は変化していた。これには青少年の食環境を取り巻く環境が影響している可能性がある。(2)「健康的な食生活」意識に関連する要因として,「食生活と食習慣」では「性別」と「運動」,「食物と栄養」では「年齢」と「性別」であった。青少年を対象とした健康的な食事に関する意識調査は今回が最初の試みであり,更に,異なる年齢層や地域における研究が必要と思われる。

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