抄録
【目的と対象】 1992年7月より2000年6月までの8年間に国立がんセンター東病院頭頸科で手術治療を行った舌扁平上皮癌一次手術治療例274例について検討を行った。【結果】 症例の内訳はステージI : 54例, II : 125例, III : 55例, IV : 40例であり, 進行癌症例が35%を占めた。初診時リンパ節転移陽性例は76例 (28%) であった。95%の症例では手術治療のみが行われており, 30%に再建手術が行われた。再発率はステージI : 38%, II : 47%, III : 56%, IV : 61%であり, 頸部リンパ節再発が原発巣再発の2倍の頻度で認められた。また再発例の71%が術後12ヶ月以内に再発していた。Kaplan-Meier法による全体の疾患特異的5年生存率は69%であり, ステージI : 85%, II : 75%, III : 62%, IV : 43%であった。【結論】 進行癌症例, リンパ節転移症例, 再発症例では明らかに予後が不良となっていた。再発は術後早期が多く, 少なくとも術後1年は頻回のフォローアップが必要と考えられた。