抄録
1998年から2003年までの6年間にT1,T2下咽頭扁平上皮癌37例(男34例,女3例)の初回治療を行った。年齢は45~88歳(平均67歳)で,病期分類ではI期:7例,II期:15例,III期:4例,IV期:11例で,亜部位分類では梨状陥凹型:27例,咽頭後壁型:5例,輪状後部型:5例であった。当科におけるT1,T2下咽頭癌症例に対する治療は,原則としてUFT®450mg/body内服及び低濃度CDDP 4~5mg/m2点滴静注による化学療法同時併用放射線療法(CRT)を基本方針としているが,CRT施行の条件にあわない症例は放射線療法(RT)単独で対処してきた。RT群(16例)とCRT群(21例)の2年局所制御率はRT:56.3%,CRT:59.9%で有意差を認めず,現在までのところCRTがRTに比して有用とはいえなかった。