抄録
下咽頭扁平上皮癌に対する化学放射線同時併用療法を検討した。対象は男性が30例,女性が2例,年齢の中央値は61歳(41-71歳)であった。亜部位は梨状陥凹が28例,輪状後部が4例であった。StageはIIIが8例,IVが24例で,根治切除可能が26例,根治切除不能が6例であった。同時重複癌は3例の食道癌を認めた。化学療法は5-FUとCisplatinを2コースの同時併用とした。Grade 3以上の毒性は粘膜炎が50%,嘔吐が6.3%,白血球減少が12.5%であった。29例,90.6%で治療を完遂した。奏効率はCRが9例,28.1%,PRが22例,71.9%であった。2年生存率は67%で,2年progression free survival率は54%であった。2年喉頭温存率は10/17例,58.8%と良好であった。再発形式は局所・頸部リンパ節の9例,遠隔転移の1例であった。化学放射線同時併用療法は下咽頭癌の臓器温存率と生存率を向上し,QOLの低下を回避しながら生存期間を延長することが示唆された。