頭頸部癌
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唾液腺
HER-2蛋白を発現したSalivary Duct Carcinomaにおけるトラスツズマブ使用の検討
蓮尾 麻里南野 雅之八木 正夫岩井 大辻 裕之小西 将矢島野 卓史坂井田 紀子山下 敏夫
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2006 年 32 巻 1 号 p. 68-71

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抄録

唾液腺導管癌:salivary duct carcinoma(以下SDC)は唾液腺腫瘍のなかで最も予後の悪い腫瘍とされている。近年,SDCは組織学的に乳腺の浸潤性乳管癌:ductal carcinoma(以下DC)に類似し,DC同様にヒト上皮増殖因子受容体2型:human epidermal growth factor receptor type-2(以下HER-2)蛋白の過剰発現を認めるものがあると報告されている。今回,右耳下腺のSDCに対し右耳下腺全摘術と右根治的頸部郭清術施行し,のちに皮膚転移をきたした症例においてHER-2蛋白の過剰発現を認めた。HER-2蛋白は乳癌の10~30%に過剰発現しこれは予後不良を意味するが,トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)の使用が最も効果的とされている。本症例に対して乳癌転移のみに適応のあるトラスツズマブの使用を試みたので文献的考察を加え報告する。

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© 2006 日本頭頸部癌学会
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