頭頸部癌
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多分割照射の基礎と臨床
頭頸部腫瘍に対する加速多分割照射
~単一施設20年の臨床経験~
柴山 千秋仲澤 聖則菅原 正
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2007 年 33 巻 3 号 p. 293-296

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抄録
自治医科大学放射線科における20年に及ぶ加速多分割照射accelerated hyperfractionation(AHF)の経験から,頭頸部癌の治療成績と有害事象について報告する。1985年から2002年にAHFを行った喉頭癌237例,上咽頭癌50例,中咽頭癌34例,下咽頭癌38例が対象である。AHFは1日2回,週10回照射で総線量60~63Gy/40回/4週である。各疾患の5年局所制御率は,声門癌I期65例では98%,II期59例では85%,III・IV期28例では73%であった。中咽頭癌I・II期5例では80%,III期11例では69%,IV期18例では50%,下咽頭癌I・II期4例では75%,III期6例では100%,IV期28例では40%であった。上咽頭癌では標準治療と比較し治療成績の改善はなかった。AHFにより早期粘膜炎は増強するが耐容可能な範囲であり,晩期障害の発生率は標準分割照射と同程度であった。AHFは上咽頭癌を除く頭頸部癌に有用な治療法と考えられる。
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© 2007 日本頭頸部癌学会
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