抄録
1976年~2005年に久留米大学病院耳鼻咽喉科で入院加療を行った口腔・中咽頭NSCC22例を対象とし,臨床病理組織学的検討を行った。口腔癌362例中8例(2%),中咽頭癌275例中14例(5%)にNSCCを認めた。中咽頭NSCCの5年生存率は90%,10年生存率は90%であり,SCCと比較し良い傾向があった(p=0.06)。口腔NSCCの5年生存率は73%,10年生存率は37%であり,SCCと比較し統計学的に有意な関係は認めなかった。stage別の生存率は,stage I,II,IIIに比べstage IVが悪く,統計学的に有意な関係を認めた(p=0.04)。組織型別の生存率は,それぞれの組織型間で統計学的に有意な関係は認めなかった。治療方法別の生存率は,手術+照射が良い傾向があったが,統計学的に有意な関係は認めなかった。腺様嚢胞癌症例では,組織grade IIIや神経周囲浸潤あるいは脈管内浸潤を認める症例に対しては後療法を行う必要があると考えられた。