抄録
頭頸部癌に対する同時化学放射線療法(CCRT)の役割は,高い奏功率と機能温存の点からきわめて重要になっている。しかしながらCCRT後に腫瘍が残存,再発する症例も認められ,それらの症例については適切な救済手術を行うことによってさらなる治療成績の向上が期待される。今回我々は当科にて施行したCCRT後の救済手術15例について検討した。その内訳は頸部郭清術(ND)単独8例,咽喉食摘出+ND 3例,喉頭摘出+ND 3例,中咽頭腫瘍切除+ND 1例で,術後合併症は創部感染,喉頭浮腫などほとんどが軽度であったが2例において再手術を要する合併症が生じた。CCRT後の腫瘍の残存,再発に対しては慎重に手術適応を検討することにより安全に救済手術を行うことが可能であり,治療成績の更なる向上が可能と考えられた。