頭頸部がん患者に対する緩和ケアにおける問題点を述べた。長期生存が認められる可能性が高い反面,頭頸部がん患者は,手術に伴う外見の変貌,失声などによるコミュニケーション障害,嚥下障害などによる鎮痛薬投与経路の変更など多くの問題を抱えている。頭頸部がん患者の痛みの種類は3つに分けられる。侵害性疼痛,神経障害性疼痛とその混合したものである。侵害性疼痛は通常オピオイドによって治療可能であるが,神経障害性疼痛に対しては,抗けいれん薬,抗うつ薬などが治療の中心である。頭頸部がん患者の痛みは,すでに述べたいろいろな障害による精神的な因子によってしばしば影響をうける。頭頸部がん患者の緩和ケアを行うにあたっては,これらの特徴を知ることが重要である。